004
作家・俳優 室積 光さん
作家・俳優としてご活躍中の室積 光さん。光市への想いと、光市を舞台にした著書「埋蔵金発掘課長」のお話をお伺いしました。
光市観光協会 本日はよろしくお願いいたします。
室積 光 よろしくお願いします。
まずは室積さんのプロフィールから。光市室積のご出身で、高校卒業後に東京の大学に進学されました。大学在学中から俳優として活躍されたのち、脚本、小説家としても活動していらっしゃいます。
はい。そうですね。
俳優活動としては、「3年B組金八先生」に体育教師の伊東先生役で出演されていたり、大河ドラマ「翔ぶが如く」にも出演されていたとのことで…、写真拝見しましたけど、錚々たる役者さんと一緒に若かりし頃の室積さんの姿が!かっこいいです!!
金八先生は30年以上前、翔ぶが如くは27年前の写真です。 若いですね(笑)
続いては光市について、昔の思い出、光市のここが良かったなあとか、そういったところがお聞きできればと思うんですけど。
…はい、要するにあの、室積の海と、あと象鼻ケ岬なんですよ。僕の場合は。室積海水浴場は、なんていうか…、記憶がない昔から行ってるんで、自分にとっては当たり前の存在なんですけど、あそこですね、海水浴場としてすごいんですよね。全国的に見ても、ちょっとないんですよ、あの砂浜。 で、これは戦前を知る80代の方に聞いた話なんだけど … 聞き間違いかもしれないんだけど、一夏に80万人の海水浴客が来てたって。当時の室積海水浴場は砂浜が長かったというのもあって、海にたどり着くまでに人をかき分けて行かなきゃなんなかったって。
80万人! おそらく室積と虹ヶ浜あわせての数字だと思いますが、すごい数ですね(笑)
僕が子どもの頃は昭和30年代だから、そこまで多くはなかったんですけど、今はさらに海水浴客が少なくなっちゃって…、夏遊びに行くと、悲しいことにほとんど僕のプライベートビーチ状態なんです。 でもね、あそこはほんとすごいんですよ。それをね、住んでる人はあんまり気付かないんですよ。虹ヶ浜もそうなんだけど。
そうですよね…。住んでると気付かないですよね。
関東の方でも何回か海水浴に行きましたけど…まず泳いでて自分の腕が見えない。ぜんぜん愛想のない海なんですよ。光の海はね、島影が見えてね、愛想の良い海なんですよ。少々荒れてても、愛想が良いんですよ。愛嬌があるというか、色気のある海なんですよ。 この海を見て育つとね、人格形成に影響があると思うんですよ。僕らはね、なんとなくね、人を信じるんですよ。光市民は、なんかね、人を信じるの(笑)
(笑)いいですね!まさに「子どもを育てたい町」というか…、少し前に光市が作った「ひかりのまち」というPVのテーマのひとつでもありましたけど、そこに繋がりますね。
ですね、うん。 あのね、僕がまだ21ぐらいの時、初めて出演した「二つのハーモニカ」って映画で、カメラマンの南文憲さん(故人)に「君は光市出身か?」って聞かれて。そうですよって答えたら、「撮影で行ったことがある。光市という名前がふさわしい土地だ」って言うんですよ。 カメラ覗いたらね、光線が違うんだって。カメラを覗いた時に、もう違うって言ってた。カメラマンは違いがわかるんですよね。生活してても気がつかないんだけど(笑)
光市は日照時間のランキングでも全国的に上位に入っていますね。
それに、海と山に囲まれて、空気が綺麗ですよね。だからほんと、この綺麗な空気の中で、陽光きらめく海を眺めてたら、絶対、子どもの情操教育に良いですよね。さっきの「人を信じる」って話じゃないけど、なんか人生を信じるというか…、前向きになれる気がしますね。
あと、象鼻ケ岬、僕はあそこに小〜中学校と9年間通ったんで、帰って来ると必ず行きます。「ああ、帰って来た」って実感があって、また東京に行って頑張れるというのがあって。東京から友達が来ても必ずあそこを見せて、まあ、母校(附属光小学校中学校)の自慢をするんですけど…。 僕は芝居で全国の小学校回ったんですけど、学校って、ほんと良いんですよね。僕らの芝居をみた小学生が、帰り道、ランドセル背負って歩いてる姿を見るだけで涙が出るんだけど(笑) ほんと…、東北の山あいの学校とか、すごく良いところがたくさんあって…、でも、全国の学校の中で一番環境の良い学校って、附属光小学校中学校だと思う!
(笑)
峨眉山に護国神社あるでしょ、あそこ、来島又兵衛とか、久坂玄瑞とか、有名どころの名前からずっと並んで、その先にね、苗字のない人たちがあるんですよ。小者三平とか…。そういう人たちまできちんと祀ってあることに感動して、武田鉄矢さんに話したら、「Ronin」って映画のなかに、五平って、苗字を勝ち取るために戦う登場人物が出てくるんですけど、きっかけは光市の話なんです。 そういう話、学校に通ってたころには教えてもらえなかったから、大人になってから知ったんですよ。清水宗治がここの領主だったってのも50過ぎまで知らなかったし。何で教えてくれなかったの、早く教えてよって(笑) あと、シベリア渡ってドイツまで行った冒険家の玉井喜作も光市出身でしょ。すごいよね。…でも、そういうこと、光の人って、あんまりアピールしないんじゃないの?
確かに…私達も知りませんでした。控えめというか、それが良いところなのかもしれないですけど、市としてはPR不足なのかもしれないですね(笑)
最後になりましたが、室積さんの最新作「埋蔵金発掘課長」は、光市が舞台になっています。こちら、映画化のお話は…?
これ、今やってるんですけど、監督はもう決まってて、映画化の方向で進んでます!
ほんとですか!
この作品って、元々は松竹のアイデアなんですよ。プロデューサーの矢島さんって人がいて、山田洋次監督の「東京家族」って映画で一緒だったんですけど、彼から「監督のアイデアだけあるんですけど、小説書いてみませんか?」って言われて。なんですかって聞いたら「埋蔵金発掘課長」だって。聞いた瞬間にゲラゲラ笑っちゃって、それで書いたの。中身は僕のオリジナルなんですけど、題名だけは監督の佐々江さんが作ったんですよ。
最初から映画化前提のお話だったんですね! 撮影は光市でされる予定なんですか?
僕はね、ロケだけ光市でスタジオセットは東京で、というんじゃなくて、できれば全て光市で撮りたいと思ってるんですよ。そのためにはセットを組める環境とか、市の協力が必要なんですけど…。僕の書いた映画で「北辰斜にさすところ」ってのがあるんですけど、三國連太郎さんが主演されて。それは、熊本県の人吉市で全部撮ったんです。住民の皆さんには申し訳なかったんですけど、町の体育館?を1ヶ月借りてセット組んで撮って…。 だからね、地方オール撮影はできるんです。実際人吉市でやったから。3日くらいロケしてすぐ帰っちゃった、ていうよりは、光市で全部撮りたいんですよ。光市の皆さんに、映画に関わってもらいたいですね。
楽しみです!! 本日は長時間、ありがとうございました!
はい、ありがとうございました。
(2017年1月27日)